大西洋汽船・南氷洋クルーズ

吹雪いてくる風がますます強くなって段々荒れ模様の天気になっていく。

クルーズ客船が大きく揺れ巨大な流氷がすれすれに側をかすめる。

その氷山の一角にペンギンの群れがいて吹雪きの中にじっと立ったままのペンギンがいる。


そう。

メスとオスが代わり番こに交代で卵を暖めている。

じっと立ち尽くすペンギンの頭や肩には雪が積もり、顔からはツララが下がっている。


キャビンの窓越しにその光景を見ている親子。


小さな子が母親の手をぎゅっと握って言う。

ほとんど泣きベソの声で、

『なんで?なんで?なんでお引っ越しないの?こんな寒いとこにわざわざいなくても・・・・』


母親が子供の手をぎゅっと握り返して言う。

『大丈夫。ペンギンさんがそう決めたんだから、ここに居るって』

『そしたら神様が、うん、分かったと言って寒さに強い皮膚をペンギンにあげたの』

『もちろん顔からはツララが下がるこの寒さだから大変だけど、ママパパペンギンはただ一生懸命』

『だって赤ちゃんペンギンがもうすぐ生まれてくるんだから』


『そしたら赤ちゃんペンギンを抱っこして海の中をビュンビュン泳ぎまくって魚の取り方を教えるんだ!』

『ママパパペンギンの頭の中はそのことでいっぱい』

『だからママパパペンギンは今、最高にハッピー、寒さなんか全然平気』


『パパがあなたにベタベタ抱きつくのは、そしてヒョイっと抱え上げてお部屋でブンブン回すのはあなたのキャッキャ言う声が最高にハッピーなの』

『ママも同んなじ。あなたに突然後ろから抱きつくのはあなたのムギューっと声にならない声を聞くのが、、、ほとんど中毒』


『生き物はみーんな同んなじ。誰かに抱きついたり抱っこしたりすると不思議なパワーが生まれて何が来たって平気になるんだよ』


子供がペンギンにVサインを送る。

母親の手をもう一度ぎゅっと握り返している。



大西洋汽船 特別メニュー

突然、吹雪きが吹き荒れるサンデッキでおしるこの無料サービスが始まった。

凍ったデッキの上、吹雪の中でふっかふかの毛布にくるまって温ったかいおしるこをフウフウ食べる幸せなひと時。


悪天候が続いた時に、ダイニングのおしゃれなメニューにもちょっと飽きてきている乗客のために提供される特別サービス。


おもちゃめし本舗

歌っている時や美味しいものを食べている時は誰も戦争とか悪巧みを考えないよネ、を基本コンセプトにギターいっぽんで作る歌や電子レンジとオーブントースターだけで作れる料理を発信しています。

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